ROMAN JEHANNO
ペルーの素晴らしい工芸の作り手たち
ペルーのリマ、クスコ、プーノと巡り、素晴らしい工芸の作り手たちとの出会いに自分自身を発見したローマン・ジェハノは、道中でさまざまなアルチザン、農家、パン職人などの美しいポートレートを撮影しました。ナスカやインカの時代と同じスタイルで、スペイン植民地時代の慣習とともに日々暮らしている人々の生活をハッセルブラッドH6D-100cで収めました。彼の作品は、ペルーに住む隠れたアーティストたち、多くの才能のある人々の生活と手仕事に関する文化を広め、保全することに役立っています。
次の目的地:ペルー
ローマンは、世界にまだ知られていない才能あふれる職人らのポートレートを撮影するプロジェクトを手がけており、これまでに南アフリカ、バリ、日本などを訪れました。次の候補地としてラテンアメリカを目指し、ペルーのリマから、ピスコ、イーカ、ナスカ、アレキパ、プーノ、フリアカ、クスコ、アバンカイ、アヤクチョ、およびその都市間のすべての小さな町を旅しました。 道中で彼はインカの伝統的な働き方を引き継ぐ陶芸家や才能の溢れる織り手、スペイン植民地時代の方法で馬を育て、飼育する農家などに出会いました。
MARLENY CALLAÑAUPA Q. – LLAMA WOOL WEAVER
Marlenyは9歳からアルパカの毛を使った織物を作っています。最初はブレスレットやベルトなどの簡単なものから織り始め、ポンチョ、ラグ、テーブルランナーなどより複雑で高度な技術が必要な作品を作っています。彼女が働くアルチザンの協同組合では、アルパカの毛の刈り取りから最後の製織まで、すべて手作業で行われています。
ANTONIO LICONA TARCO & GRANDSON
昔、Oropesa村のパン屋は、村の中心に全員分のオーブンを持っていました。今日では、パン屋がそれぞれの場所で独自のオーブンを持っており、パンを作って販売しています。Antonio(82歳)は、孫と一緒に毎朝午前3時に仕事を始めます。彼のオーブンは一度に約50個の大きなパンを焼き上げることができます。オーブン内の小さなファンが継続的に火を起こしますが、パン職人は常にオーブン内の温度バランスを完璧にしなければいけません。
QUELQANKA COMMUNITY – LLAMA FARMERS
農家のコミュニティのQuelqankaは、何世代にもわたってパタカンチャ近くのペルーアンデスで、ラマを育てながら暮らしています。
ROBERTO LUJANO – UROS VILLAGER
Robertoと彼の家族、および同じ地域の他のいくつかの家族は、Urosの伝統を継承しています。Urosの人々は、昔Totoraと呼ばれる固有の葦で作られた約40の浮島をつなげた群島に住んでいました。一部の家族は、そのような群島に今も住み、観光客を遠ざけて、祖先の暮らしを守っています。葦の家を建てるのに15日かかり、いかだを作るのに3人の手で約1ヶ月かかります。 葦で作られた島の寿命は約30年です。
OLIVIA – ARTIST
Oliviaはナスカ出身の学際的なアーティストです。彼女はナスカ地域のすべての植物と花を描いて登録し、水彩画として本にまとめました。彼女の研究は、ナスカの広大な地域を自然保護区として分類するのに役立っています。
ALBERTO SEGURA – CERAMIC MASTER
Albertoは、緻密な陶芸を得意とするナスカの陶芸家で、スペイン植民地以前の文明を研究している考古学者らと緊密に協力しています。彼の古代の陶器の複製は非常に良くできているので、本物と見分けがつかないほどです。これは、彼が古代の技法に加えてナスカの人々が使用した砂、水、粘土の正確な量を発見することができたためです。
ALEJANDRO FLORES – WEAVER
66歳のAlejandro Floresは、タキーレ島出身のミュージシャン兼織り手です。彼の両親から織機の使い方を教わりました。この文化遺産は、海抜4200mのチチカカ湖で何世代にも渡って継承されてきました。
MAURO PALOMINO AND SON YOVANI – GUITAR MAKERS
サンパブロのChara出身のMauroには、3人の娘とひとりの息子がいて、全員、彼と一緒にギタービジネスに携わっています。何人かのペルー音楽家は彼の店のギターの愛用者です。彼は息子のYovaniが15歳の時に技術を教え始めました。中央の穴の周りにデザインされた印のロゼットは、丸一日かけて作られます。Yovaniは父親の視力が年齢とともに弱まるにつれて、今はすべてのロゼット作りを担当しています。
MRS. TORRES
Mrs. Torresはチチャ(発酵トウモロコシビール)作りのために、娘たちのトウモロコシ粒の選別を手伝っています。 発芽から試飲まで良質なチチャを作るのに約2週間かかります。
SATURNINO – MINER
アレキパに住み、働いているSaturninoは、何世紀にもわたってアレキパの街の建設に使われてきたSillar stoneの採石場の採掘者です。採石場から完全なブロックを採り出すには、約1時間かかります。良い日には、彼は約12個採掘することができます。 現在、Saturninoは観光客に、採石場の歴史、Sillar stoneについて、および採掘の方法などを説明しています。
Q’ESWACHAKA WORKER
Q’eswachaka橋は、アプリマック川に架かる最後のインカの時代のロープ橋です。この地域の住民は、毎年橋で作業することにより、古代の伝統と技を継承しています。橋の架け替えは彼らの祖先と古い神話の女神パチャママを賛美して行われる地元の行事です。橋に使うロープは地元の草を原料に現場で作られます。
NILDA LUZ LICONA OJEDA & FORTUNATA LICONA OJEDA
NildaとFourtunataはそれぞれ36歳と57歳で、パン屋のAntonio Licona Tarcoの2人の娘です。 彼らはクスコ近くの村、オロペサに住み、父親のパンを販売しています。
ローマンの完璧なライティング
ライティングの達人ローマンのシンプルかつ正確な手法には、被写体の上にセットされたBroncolor Sirosに取り付けられた90x120cmソフトボックスの使用が含まれます。「難しいのは、被写体と光源の間に完璧な距離を置き、それを現場の自然光と完全にバランスさせることです。 適切な照明のコントラストを見つけるには、できるだけ正確である必要があります。H6D-100c最大のゲームチェンジャーはレンズシャッターで、追加の光源で正しく露光しながら、最大1/2000秒まで同調撮影することにより、強い自然光の映り込みを減らすことができます。」とローマンは語ります。
正直なところ、H6D-100cに完全に心を奪われています。使用してほぼ2年ですが、H6D-100cで撮影した全てのショットは私を未だに驚かせます。色は完全に写され、暗い場所でも、得るデータの量は非常に豊富で正確です。1億画素は、被写体の顔のディテールを失うことなく、広角のポートレート撮影が可能で、衣服にも信じられないほど多くのディテールを残すことができます。全身のポートレートでも生地の繊維まで確認できます。これは、実際にプリントアウトしても最高の結果を得ることができます。
ローマン・ジェハノについて
17歳の写真に魅了されたフランスのフォトグラファーローマン・ジェハノは、2008年にパリを拠点とする写真学校Gobelinsを卒業しました。ハッセルブラッド との出会いは、503CWを使った写真が授業中に紹介されたことがきっかけです。2014年、ローマンは権威あるハッセルブラッドマスターの一般部門に入賞しました。ペルーのポートレートシリーズの詳細はこちらからご覧ください。
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